人気企業ランキングは転職の参考にならない?自分に合った企業の選び方
ツイート転職サイトのdodaにて、「転職人気企業ランキング」が毎年発表されています。アンケートの集計によって、人気の企業が300位まで公開されます。転職を考えている人で、このランキングを参考にしている人も多いかもしれません。
やはり、上位に入っているのは、誰でも知っている有名企業ばかりですね。2016年のランキングでは、グーグルやトヨタ、ソニーなどの名前がありました。有名企業だと雇用も安定していそうなイメージですし、人気があるのも分かります。
でも、こういったランキングを鵜呑みにすると、転職に失敗するかもしれません。やはり、ちゃんと自分のやりたいことを実現できる企業でないと、満足のいく転職は出来ないわけです。
ここでは、転職人気企業ランキングの落とし穴について紹介します。
転職人気ランキングから分かること
このランキングは、社会人を対象としたアンケートで集計されています。「もし転職するなら、どの企業に転職したいか?」というテーマで、調査を行っているわけですね。
そして、毎年のランキングを見ていると、ある傾向があることが分かります。それは、時事的な状況をすごく反映しているということです。
例えば、スティーブ・ジョブスが亡くなってアップルが注目されると、アップルの人気が急激に上昇しました。ドラマの半沢直樹がヒットすると、銀行系の人気が急上昇するなどの現象が起きています。
また、東日本大震災が起きてからは、公務員の人気がさらにアップしました。やはり、何が起きるか分からないので、安定した職業に人気が集まった形です。つまり、その年代の流行が企業ランキングに反映されるわけですね。
ランキングは、その企業の業績や将来性が評価されたものではありません。企業の外部の人間が投票しているわけですから、表面的なイメージだけで決められています。
そのため、人気ランキングを鵜呑みにして入社してみると、想像と全く違っていて落胆してしまうというケースがありますね。
転職に失敗してしまわないためにも、よく考えてから企業を選択してください。
倒産しにくい会社を見分けるためのポイント
営業利益率が高いこと
営業利益率とは、売り上げに占める営業利益の割合のことです。売上高からコストを差し引いたものが営業利益であり、その利益の割合を営業利益率と呼ぶわけですね。
つまり、営業利益率が高い企業ほど儲かっているわけですから、倒産しにくいといえるわけです。上場企業ならIR情報が出ていますから、四季報などで営業利益率を調べることができます。
有名な企業だとしても営業利益率が低い場合がありますし、赤字になっていることもあります。なので、ネームバリューに流されるのではなく、実際の数字で確認することを忘れないでください。
参考までに、営業利益率の高い企業をいくつか紹介します。
企業名 | 営業利益率(%) |
---|---|
キーエンス | 53.3 |
ユー・エス・エス | 50.1 |
カカクコム | 47.3 |
参天製薬 | 41.0 |
国際石油開発帝石 | 38.6 |
ファナック | 34.5 |
ヤフー | 34.4 |
東海旅客鉄道 | 33.2 |
ネクソン | 32.7 |
塩野義製薬 | 29.4 |
参考:東洋経済オンライン
ちなみに、営業利益が2兆8000億円をを誇るトヨタでさえ、営業利益率は10%にすぎません。なので、経営状態としては、トヨタよりも上記の企業の方が良好だと判断できるでしょう。
新規参入が少ない業種
企業は、他のライバル企業と常に戦っています。このライバル競争に負けてしまうと、倒産するしかありません。なので、ライバル競争が少ない業界であれば、長く安定的に経営することができ、倒産のリスクも少ないということになりますね。
たとえば、IT業界は競争が激しいですから、どんどん新しいサービスが生まれたり、消えたりを繰り返していますよね。だから、ITベンチャー企業というのは、夢がありますがリスクも多いということになります。
なぜ、ライバルが多いのかというと、「参入障壁が低い」「海外に競合がいる」という特徴があるからです。こういった業種は、常に新しい会社が入ってきますから、競争が激しくなってしまいます。
一方、ライバルが少ない業種というのは、以下のような特徴があります。
- 参入障壁が高い
- 海外に競合が少ない
先ほどのIT業界と真逆ですね。
たとえば、鉄道やエネルギーなどのインフラ業界だと、設備投資だけで数千億円は必要になるでしょう。また、許認可の申請にも時間が掛かるので、すぐに参入することもできません。
海外企業が参入する心配もないために、新規のライバルが入ってこないわけですね。こういった業界だと寡占状態になっているので、経営は安定する傾向にあります。最悪の場合、国から助けてもらえますから、倒産することはまずないでしょう。
このような業界を選んでおけば、倒産のリスクを最小限に抑えることができます。
創業30年以上の企業
国税局では、「企業生存率」というデータを発表しています。これは、法人が設立されてから、倒産するまでの期間の統計をまとめたものです。
詳しくは、以下の通りとなっています。
年数 | 生存率(%) |
---|---|
5年 | 14.8 |
10年 | 6.3 |
20年 | 0.4 |
30年 | 0.021 |
なんと、設立5年で約85%の企業が倒産し、10年になると90%以上が倒産しているわけです。ですから、設立10年未満のベンチャー企業の場合、かなりの確率でなくなってしまうことが分かるでしょう。
ですから、倒産しにくい企業を選ぶのであれば、創業30年以上の老舗企業を選択するのが良いと思います。30年以上も生き残る企業は、5000社に1社の確率しかありません。
逆に言うと、それだけ長く経営しているのなら、安定した収益を生んでいるでしょうし、ライバルも少ないことが予想されます。なので、創業年数を見るのも、重要なポイントだといえますね。
将来性のある業界の選び方について
これから伸びそうな業界を選んでおくと、キャリアアップにつながる可能性があります。時代の流れによって伸びる業界とそうでない業界がありますから、転職をするときには将来性を考慮して決めるようにしましょう。
キーワードは、「グローバル」です。日本の経済は長く停滞しているので、海外進出できる業界であれば将来は明るいと思います。日本のサービスは世界でもトップクラスですから、今後は海外で活躍する企業も増えるはずです。
コンビニ
近年、日本のコンビニは、積極的に海外店舗を増やしています。店舗数や品揃えは世界一ですから、海外においても高評価を受けているわけです。今後も海外展開は加速するでしょうし、まだまだ伸びる業界だといえますね。
飲食業
日本食は世界的にブームとなっており、寿司は海外でも定番の日本食となっています。また、ラーメン屋や居酒屋なども海外展開をしている企業が増えていて、順調に業績を伸ばしていますね。
旅行業・観光業
治安の良さやサービスの質、便利な交通網や美味しい食べ物など、日本は世界でもトップレベルにある国です。なので、海外からの旅行客も増え続けており、年間で2000万人を超えるほどの勢いがあります。
これからもどんどん増え続けるでしょうから、旅行関係の業界は成長し続けるでしょう。
このように、海外の需要を上手く満たせる業界・業種を選択しておけば、今後しばらくは伸びていくはずです。そこで十分なキャリアを積むことで、将来的なキャリアアップにつなげることができます。
「自分のやりたいことは何か?」が最も大切なこと
上記で、倒産しにくい会社の見分け方などを紹介しましたが、それだけを重視して転職したとしても、本当の満足は得られないかもしれません。安定した企業であっても、興味のない仕事だったら嫌になってしまうと思います。
だから、転職先を見つける時には、自分が何をやりたいのかを基準としてください。自分の目指す方向性に合う会社でないと、やりがいを感じることができません。人気の企業だからといって、自分が働きやすいとは限らないわけです。
なので、自分のやりたいことを最優先にして考えましょう。詳しくは、「後悔しない会社選びの基準やポイントとは?」のページでも紹介しているので、参考にしてください。
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