退職後の年金・税金の手続きについて
ツイート会社に勤めている間は、年金や税金の支払いなどは会社がすべてやってくれていました。退職してすぐに転職する場合には、転職先が全ての手続きをやってくれるはずです。しかし、すぐに再就職しないのであれば、それらをすべて自分で行わなければいけません。
早めに手続きをしておかなければ、将来的に年金を受け取れなかったり、余分な税金を支払うハメになります。知らなかったでは済まされませんから、必ず手続きを行うようにしてください。
ここでは、年金と税金の手続きについて解説をします。
国民年金とはどんなものか?
年金制度とは、高齢期の生活を保障するために作られた制度で、60歳以上になると一定の金額が毎月給付されるようになります。運営主体によって公的・私的年金に分かれています。それぞれに加入する対象が決まっているので、自分に適した年金に加入しないといけません。
具体的には、以下の3つがあります。
厚生年金 | 民間企業に勤める人 |
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共済年金 | 公務員などの共済組合員 |
国民年金 | 20〜59歳までの人は全員 |
そして、年金に加入する被保険者にも、それぞれ分類が分かれています。
第一号被保険者 | 自営業、農・漁業従事者 |
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第二号被保険者 | 会社に勤め、厚生・共済年金に加入している人 |
第三号被保険者 | 第二号被保険者に扶養されている配偶者 |
会社に勤めていれば第二号被保険者ですが、退職をすると厚生年金からは脱退して第一号被保険者となります。なので、種別変更のための手続きが必要になるということです。
もしも、このまま手続きせずに年金の支払いをしなければ、将来的に年金の給付が受けられなくなってしまいます。年金の給付を受けるためには、「保険料の納付期間が25年以上」という条件があるからです。なので、条件を満たせるように、しっかりと支払いをしましょう。
国民年金の手続きをしよう
厚生年金の保険料は、給与の13.58%が天引きされる形で支払いをしています。しかし、第一号被保険者となって国民年金の支払いをするときには、自分で全ての手続きをして納付しないといけません。
そのためには、厚生年金から国民年金に種別変更の手続きをする必要があります。手続きの要綱は、以下のようになっています。
すぐに再就職しない場合 | |
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申請期限 | 退職日翌日から14日以内、配偶者は30日以内 |
手続き場所 | 居住地の市町村役場 |
必要書類 | 年金手帳、印鑑、離職票 |
保険料 | 15,040円(平成25年度) |
転職が決まった場合 | |
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申請期限 | 転職後5日以内 |
手続き場所 | 勤務先が代行 |
必要書類 | 年金手帳、印鑑 |
保険料 | 給与の13.58%÷2(会社が半分支払う) |
退職時の税金の手続きについて
税金に関する手続きに関しては、「所得税」、「住民税」、「退職金」に伴うものとなります。ちゃんと手続きをしないと、払い過ぎた税金が戻ってこなかったり、余計な税金が請求されることになってしまいます。なので、必ず確認をするようにしてください。
所得税
まず、所得税は国に納付する税金のことです。会社員であれば、給料から毎月天引きされる形で支払いをしています。これは、前払い方式なので、年末に計算をして調整する仕組みとなっています。たいていは、払い過ぎているので戻ってくるようになりますね。
退職して年内に再就職をすれば、年末調整は転職先の会社がすべて行ってくれます。前の会社の源泉徴収票や各種保険の控除証明書などを、会社に提出しておきましょう。
しかし、退職して年内に転職できないのであれば、確定申告を自分でしないといけません。管轄の税務署へ行って申請書に記入し、源泉徴収票や控除対象の証明書などと一緒に提出してください。
お金が戻ってくることがほとんどですから、必ず手続きをしてくださいね。特に、年収が103万円以下なら非課税となりますので、天引きされた税金がすべて払い戻しされます。
住民税
住民税は、後払い方式の納税システムとなっています。通常であれば、1〜12月までの所得を計算して、翌年の6月〜翌々年の5月にかけて支払います。つまり、退職して給料が無くなったとしても、過去の収入分の税金の支払いをしなくてはいけません。
納税方法は、退職した月によって変わります。
1〜5月 | 退職月から5月までの納税額の合計を最終給与から一括徴収。 |
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6〜12月 | 退職月の給与から、その月の税金が引かれる。 残りの来年5月までの分は、役所からの納付書で支払う。 |
退職金
退職金を受け取った場合、それにも税金がかかってしまいます。ただ、これは税務署にある「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出するだけです。これを出せば、会社が退職金から源泉徴収をして税務署に納付してくれます。もし、これを提出しなければ、一律20.42
%の源泉徴収がされるので、損をすることになります。
ちなみに、退職金の税金は自分で計算することができます。
1.退職所得を求める
(退職金−退職所得控除額)×1/2=退職所得
2.退職所得税額(所得税分)を求める
退職所得×所得税率−控除額=退職所得税額(所得税分)
3.退職所得税額(住民税分)を求める
退職所得×住民税率=退職所得税額(住民税分)
4.退職所得税額
退職所得税額(所得税分)+退職所得税額(住民税分)=退職所得税額
課税退職所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円〜1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円〜3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円〜6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円〜8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円〜17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円以上 | 40% | 2,796,000円 |
退職金については、「退職金制度について理解しよう」でも詳しく解説をしています。
以上、退職後の年金と税金について解説をしました。
こういった手続きは面倒なので、やりたくないと思います。特に、退職して収入が無くなると、年金の支払いをするのは厳しいでしょう。しかし、将来的に損をするのは自分なので、しっかりと手続きをやっておく必要がありますね。
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